我が家では、ストーブやテレビを買ったことがない。
「これ、壊れてるんだけど…」
そう言って譲り受けたものばかり。
壊れているなら、捨てるしかないでしょう?
誰かにあげたって、迷惑になるだけ。
第一、壊れたものをあげることなんてできない。
普通なら、そう考えると思う。
でも、我が家に壊れたものを持ってくる人は、ちゃんとわかってるんだ。
うちの父なら、直せるかもしれないことを。
中には、本当に使い物にならないものもあった。
でも捨てられてしまいそうだった物のほとんどが、生き返った。
今の我が家にあるストーブやテレビも、危うく粗大ゴミにされそうだったものばかり。
最初から壊れかかってるんだから、スムーズに使えるわけがない。
家電の調子が悪くなると、父はお医者さんと化する。
調子の悪い家電に、父は手をかける。
機械をいじることが好きな父は、その手間を惜しまない。
原因を探し、突き止め、解消する。
診察をし、治療を始め、回復させる。
その姿はまるでおもちゃで遊ぶこどものよう。
第三者から見れば、買った方が早いんじゃないかと思うだろう。
家族にとっても、それだけの手間をかける価値はないと感じることも、たくさんある。
頑張って直しても、またすぐダメになるのだから。
でも、父はそんなのおかまいなし。
直したいんだ。
直して、また使いたいんだ。
それだけ手間をかけているものだから、愛着もわく。
だからなおさら、手放せなくなる。
手をかけた子ほど可愛いと言うけれど、機械に対する父の姿は、まさしくそれにあてはまる。
おそらくこれからも、新しいストーブやテレビがうちに来ることはないだろう。
さすがにもう使えない。買い替えるか…。
どういうわけか、ちょうどそんなときに、また新たな家電がやってくる。
もちろん、粗大ゴミ寸前の。